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貝殻の島たち
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海からの贈り物 GIFT FROM THE SEA



自分の中に潜るために
海辺へ。

アン・モロウ・リンドバーグは
妻や母という立場から、ふと、コネティカットの家を抜け出し
フロリダの島のバンガローへやってきて波の音にひたることにする。

静かに波がひいたあとには
人間が普通知らないでいる別の世界が現れてくるから と、美しい貝殻を拾い集めた。
島のように空間で囲むように
たくさんあったうちから一つずつだけ残す。

ほら貝、ツメタ貝、日の出貝、牡蠣、タコブネ、いくつかの貝・・・

ひとりになること、と、ツメタ貝をみながら考える。
自分の内部に力を求める。
それに注ぐ時間を割くことが認められにくいなんて。
ツメタ貝の螺旋をなぞって小さな核心に辿り着く。

日の出貝の
新しい夜明けの光がどちらにも同じように射している。
二つとないものなんてなくて、あるのは二つとない瞬間。

タコブネの繊細な舟に乗って
海図には載っていない海原へ乗り出す。
みたこともない世界で成長しあった成人の、ふたつの孤独が寄り添うこと。
ひとりの女性として。
自分の生活が引き潮になっている時に
生き抜く方法を、と思う。
海の底の神秘の世界が姿を現す。
人間関係の変転、潮の満ち引きの意味を考える。



見つけたアンの人生のかけらには
羅針盤の推測航法や天測航法を学び
航空家の夫と調査飛行に同行していたことや
息子が2歳で誘拐され、殺害されたこともあった
夫に非嫡出子がいたということもあったようで
この静かな海辺で悠久の時を過ごすこの女性の内に、
そんな激しい人生があったのを知ったのは、だいぶあとだった。



海辺に寄せる、もの憂い波。
静かに、ゆったりした無意識の波が偶然に打ち上げた宝物。
こちらから探し求めたりしてはいけないし
掘り返そうなんておもわずに
辛抱して、海からの贈り物を待つ。


その他の本棚は → ブクログ きままな本棚 http://booklog.jp/users/t-saekit
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by t-saekit | 2011-09-16 13:30 | 雑食の本棚
夢は何柄。
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足元でイカが泳いでいる。
たしかにスーパーで、みずみずしいイカをみた。けど。
こんな夢に出てくるこたーないじゃないスか。

ひたひたと足首を冷やす水は、煉瓦造りの建物を浸している。
震災のことを思い出してたのか、でもうちは震災当日そっちにいなかったし
どこかでみた映像を繋ぎ合わせたのだろうか。

二人はもう階段を下りて先に行ってて、私ともう一人を呼んでいる。

ふりかえり、私は聞く。
あんた、キティ好きやったやんなあ。
すると後ろの彼女は答える。
キティちゃんて言うより、私、和柄が好きなんよね。
たしかに前あげたキティは和服を着てたような。
受け取り拒否をくらったキティグッズを手に、
和柄というものを、しばし考える。

どこからうちら来たんやっけ。ここで何してるんやっけかなぁ。
はっきりと目的を持って歩いていることは確かやった。



翌日の夜



赤いリノリウムの、てらっとした床が目につく廊下。
知らない場所で、アウェーな心境。
学校のような、寮のような、ワカモノたちがごろついている。
廊下にごんごん置いている下駄箱のような箪笥は、さまざまな形があり、
各生徒が自分の作品を入れるための展示用らしい。
それを私はさっきからずっと探している。私の箪笥。
ミントグリーンのはげた風合いが気に入ってたのに。
見つからないまま、遠くで招集がかかっている。
体育館に集まって行く人びとの後ろで、私はまだ焦って探している。

この、いつまでも辿り着かん感じは夢や、
ずっと見つからんこの状況はおかしい。
はよう、
何回も、もう夢やから起きんとあかんって思ってるのに、
起きたと思ってコンタクトを付けると、ぱり、とかいってレンズが割れた。
!!!
そんな阿呆な、これは夢やと思ったら、まだ夢でした。

だから早よ起きんかいと着替える私の前見頃には
きれいにマットな質感で、Tシャツ柄のタトゥー。
和柄とかTシャツ柄とか、柄はもぅええっちゅうの。
ハズいPOPな英単語。きっと意味は通じてない。


ああいうときって、
なんで
「ハッ!」
と、急に目覚めるんやろうか。
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by t-saekit | 2011-09-14 16:41 | 夢の通ひ路
照る国。
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8月末にあるジャンボリーに参加するために
鹿児島に向かった。

ジャンボリーの翌日、周遊フェリーで着いた桜島の入り口、緑の芝生の中に、
ひょっこりある足湯で、もくもくした火山の噴火をのんびり眺めながら
この一連の、九州の旅を反芻していた。


せっかくなので道中、博多の旧友に会おうと思った。
中洲の屋台がぎっちりひしめきあう、もうもう湯気があがる屋台のひとつで
私から、友人とダンナの両紹介を経て、
終わりには、三人の絆が少し生まれたような気がした。
話には聞いていても、実際会うことで
きっとお互い存在を感じられたような経緯を、横目でみていた。
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またまた途中で行きたかった阿蘇山、草千里の深い翠色は、この肺全部に染み込んだ。
天も地もあおみどりに囲まれて、子どもたちがぎゃーぎゃーテンション上がった奇声が
わかる、わかるうっ!と、私も思い切り駆け出したい。
雷も遠くで鳴っていた。雨の気配が、より青を深くする。
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催す方も来る方も、ようやくこの日を迎えた野営のおまつり
着いたとたん、めちゃくちゃ暑い日差しに負けそうになる。
元々外が得意じゃないし、
あんなに時間を多めにみてたのに、鹿児島中央のコインロッカーの確保に奔走、
結局ひとつ預けた場所、ショッピングビル閉店時間によって
今日は荷物が取り出せない事がわかったりして
テンションだだ下がりの昼下がりに、
木造校舎の畳張りの
サクラ島大学公開講座、サカキマンゴーさんによるポリリズムの伝道講座。
踊り語るマンゴーさんはおもろい語りと腰つきで
ノセられ腰振る皆の衆、気づいたら気分はさわやかだった。
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赤と白のテントには
いく人か髪の毛切ってもらってた森の美容室があったり
その場で作ってくれるシルクスクリーンTシャツを作ったり
ビール×ウインナー+ワッフル÷ハイネケンで満たし
まんなかでひたすら奏でられる音楽をずうっと聴いていた。
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カメラを片手に持った
安藤アンディを見つけた。

はるか東北からこの九州へ
繋がった人びとを辿ってやってきたことは奇跡やなあと思う。
この人がいなかったら知らなかった空間に、今いる自分に驚いた。



ステージの向かって右うしろに
おばけみたいな木があった
たたずむ姿は、まるでみどりのムック or モリゾー(愛知博)。
下の写真、ブレてるのがよけい怖い。
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そういえば
むかーしに思い浮かんだ絵のイメージ、ラフ案が残ってたけど
巨大なふくろうもどきの森の精みたいなおばけが
私?のうしろにたたずんでいる。
見守るような、でもちょっとでも自然に対する畏れを忘れたりしたら
しっぺ返しがあるような、そんな存在。


そのタイトルは、はからずも『ジャンボリー』だった。
ーー美しい装丁の空中線書局|未生響さんの『ファザーランド・ジャンボリー』って冊子があって。
ジャンボリー、って言葉を聞いてなんとなく。

野に出て楽しむ心得を思ったような、たぶんそんな心境だったのかもしれず。


帰り道、照国陣社という名称を横目にしたとき、
カラダの中に、かあっと明るい陽射しを感じた。
急ぎ足で通り過ぎたけれど
その名前が妙に焼き付いた。
あああ、照ってたなあ、と、言葉にすると、そんな気持ちがしっくりきた。

あっつい陽射しと、明るく照らされた夜や開放感、
毛穴も開いて、焼かれた石みたいに、記憶にはまだ熱が残っている。


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by t-saekit | 2011-09-12 14:12 | そぞろ歩き