カテゴリ:映画会の記憶( 3 )
ロシアの方舟
『エルミタージュ幻想』  監督:アレクサンダー・ソクーロフ
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「声」は、宮殿に入って行く。
声、だけの目線は、流れるように奥へ奥へと進むうちに
ひとりの黒い服を着た男に出会う。
19世紀のフランス人外交官キュスティーヌ伯爵。
亡霊の伯爵と「声」の姿は周りの人びとには見えていない。
夢うつつのまま伯爵に案内されて巡る、ここは、エルミタージュ美術館。
豪華絢爛な回廊にめまいがするような、幻想的な宮殿内。

「あそこにいるのは女帝エカテリーナ、劇場を造らせて自分で演出したバレエを上演した。」
カノーヴァの彫刻の前では「おお、マンマ!」と叫ぶ。
盲目の女性に出会い、彼女は、絵と話をしているという。
伯爵に導かれるまま、するすると宮殿内を巡る。
美術品を見ながら伯爵がひもとく、ロシアの激動の歴史。
この宮殿の美術館は、政治的に重要なことごとが起こった場所でもある。

「声」が、美しい扉に手をかけると「その部屋は入っては行けない!」と伯爵が言う。
暗い部屋で棺を作る男、ドイツの戦いででた犠牲市民のための棺。
白く輝く大広間では、謁見するペルシアの使節団。


押し寄せるような映像の洪水、
目が回るように、美術作品や歴史に名を残した人びとに出会う。

と思ったらこれは、全部ワンカットで撮られてるんだった!
あとで解説ブックレットを見て気づく。
壮絶な映画!!!

時空を超えて、ひといきにロシアの歴史を見た。
ヨーロッパから見て辺境の地にあるロシアが
抱えているコンプレックスのようなものをも感じる。
ラファエロの回廊を通り、ヴァチカン宮殿のコピーだと批判し
「こうまでしてイタリアに憧れる?」と言う。
が、フランスだって実はイタリアを吸収しようとして来た歴史があって
キュステーヌが、イタリア人彫刻家のカノーヴァの前で「ママ!」なんて
ひざまづいちゃったりしてる。

天から見下ろしているような、でもこのロシアの地に入り込んで一緒に体験したような
そんな、壮大な映像。

息もつかないまま、どっと疲れた気分。
ラスト、舞踏会のあと、大階段をおりてくる数千人ほどの人びとが、
笑いさんざめき、美しいドレスを着飾って帰って行く。
ごうごう流れる巨大な河のように
ロシアを運んでいく時空を象徴するように思えた。
豪奢な装飾に対して、冷たく冷えた大理石の床を思い出されて
美しくもなぜか哀しく寂しい気持ちにおそわれていた。
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by t-saekit | 2013-07-27 21:43 | 映画会の記憶 | Comments(0)
カラッと揚がったとんかつとおにぎりの味
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ひと息に おにぎりをむすぶ。
シナモンロールをひとつひとつ、静かにトングで皿に移す。
満席でもあわてず、
お箸を置く動作ですら
美しい作法でこなす。

悠久の足取りで給仕するマサコや、
テーブルを拭くさまもがさつだけど愛あるミドリの
個性的な面々がいつのまにかサチエの"ruokala lokki(かもめ食堂)"を支えていく。

シンプルな味をたべてもらいたくて
ヘルシンキにオープンしたサチエの食堂。
ここだとそれがちゃんと伝わる気がすると、
単身フィンランドにのりこんできた。

彼女がどんなにへこたれないか、
どんなに誠実でうそのないやりかたで切り盛りしているか
根性というより希望を確信したまっすぐな姿勢は
サチエ (小林聡美) の活き活きとした表情と
機敏で繊細な立ち居ふるまいにあらわれている。

なにげなくとんかつを
かぎりなくざくざく、に近い、さくさく、という軽快な音をたてて
均等に切り分けている動作の自然さ!

白い壁とブルーの腰壁
銀色のシンプルな照明
すわりごこちよさそうな白木のテーブルと椅子
たっぷり陽がさしこむ明るい店内。

皆、ゆっくりうまそうに味わうので
もぐもぐ食べたくなってくる。
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by t-saekit | 2010-04-24 02:26 | 映画会の記憶 | Comments(0)
ざくろの色
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セルゲイ・パラジャーノフ監督
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絵描き友達、林美奈子さんに借りたDVDが美しかった!

ある詩人の生涯、
書物、
修道院と
王妃

あんまり言葉で
多くを語らん方がええか。

あざやかで色あせた
絵画のように美しい
映像の詩。
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by t-saekit | 2009-11-26 02:41 | 映画会の記憶 | Comments(0)