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女帝こまつみちるの下僕パズル
コマツ企画『新釈 ヴェニスの呆人』こまばアゴラ劇場

日曜日、招待状がひょっこり手に入ったので観てきたら、めちゃくちゃおもしろかった!
一言で言うと
脳内ひっかきまわされて、びくっとして、笑って、感極まって
最後には、なにこれ!と(決して、なにそれ!ではない)
そんな風に言ったひと(女帝こまつみちる)はじめて見たわ!
と、
そんな風に思った群像劇でした。


お芝居のレビューってネタバレとか気にしたほうがいいんかいな。
どこまで書けば分からんけど書いてるうちばれたらゆるして。


幾層にも重なるシーン、
手前で後方で、時空を超えてすこしづつ切り刻みながら進むストーリー。
ときどき干渉しあう過去と未来、
歪んだ空間では、そことこことがあいまいになる。

このストーリーをずうっと遠くからみたら、
たとえば新聞やテレビで扱われるような事件性のある家庭の事情の話で
閉鎖的な状況にある家族とそこに巻き込まれた人びとの、それぞれに押さえ込まれた苦しみと
まじめになるほどおもしろくなる、奇っ怪なニンゲンの行動に笑ったかと思うと、
(わざと笑かしてる部分もあるけど!)
いきなり豹変して恐ろしい大きな声で、うっせきした不満をぶちまける。
びくっとしておびえる観客は、しかし、
罵詈雑言の中の、的を得た口汚い悪口に、やっぱり笑う。

帰ってからツタヤで借りた是枝裕和の『誰も知らない』は
似ているところもあるけど、きれいすぎる気がした。
過酷な状況では、あんな風に純粋なままでいられるんかな。
実際の事件はもう少し結果は悪くて、
巣鴨の長男さんは今どう振り返ってるんやろう。
でもそんなん知られたくないんやろうな。
その環境ではその歳では、いっぱいいっぱいやったやろうから。

とかそういうことを、
夜ビデオ観たあと思う前の、その日の昼に、
こんなにずっしりしてるのにこんなに笑って、ああ!わかる!とか切実に思って
たとえば未来の私のふがいなさが幼い私を邪魔したり
(まるでこんなオトナになるってもう細胞に書かれていたみたいに)
いつでもここは「場面転換のあいま」で、それが積み重なって現在を作っていくことを思い、
でも、あああそこが場面転換やったんやわ、と反芻して
やっぱり印象的なシーンにはちゃんとボールが落ちていたことに
アフタートークでおっしゃっていた
こまつみちるさん演出、切り貼りの構築方法(+いてまえ打線)は
成功してるんやろうな!と感動。

しかし毎回変幻自在な出し物のようで
下僕男3人を中心としたコマツ企画、つぎはどんな飛び道具がでてくるのやら〜。
いやあ、めっちゃ面白かったです。
変わった触感のおいしいお菓子を食べたあと、口の中をなんども舌なめずりをするように
思い出して思うほど、おもしろかったです。
女帝こまつみちるの下僕パズル_f0033745_2361663.jpg

あっ、はい。もう寝ます。
by t-saekit | 2009-09-02 02:43 | 舞台の残像


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